「下界と同じように淹れたのに、山で飲むとなんだか味が違う気がする……」
道具を揃えて、いざ山頂でドリップ。それだけで十分に美味しいものですが、実は山の環境には、コーヒーの味を左右する「ある秘密」が隠されています。
そこで連載第2回の今回は、コーヒーの味の決め手となる「豆選び」と「挽き方」について深掘りしていきましょう。標高が高い場所ならではの工夫を知ることで、あなたの一杯は今よりもっと味わい深いものになるはずです。

山では「お湯の温度」が上がらない?
山でコーヒーを淹れる際に、まず知っておきたいのが「標高と沸点の関係」です。
一般的に、標高が1,000m上がるごとに沸点は約3.3℃下がると言われています。つまり、標高2,000mの山頂では、お湯は93℃前後で沸騰してしまうのです。そのため、家と同じ感覚で淹れると抽出温度が低くなりすぎてしまい、「味が薄い」「酸味が強く出る」といった現象が起こりやすくなります。
山で飲むコーヒー豆、どう選ぶ?
このように、お湯の温度が下がりやすい山の上では、豆選びにも少しだけコツが必要です。
おすすめは「中深煎り〜深煎り」
低い温度でも味がしっかり抽出されやすい、中深煎り(シティロースト)から深煎り(フルシティロースト)の豆を選んでみてください。なぜなら、コクと苦味がはっきりしている豆の方が、山の澄んだ空気の中でも満足感のある一杯に仕上がるからです。
挽き方は「少し細め」が正解
次に挽き方についてですが、現地で豆を挽く場合は、普段よりも「ほんの少しだけ細かく」挽くのがポイントです。そうすることで、粉の表面積が増え、低い温度のお湯でもコーヒーの成分を効率よく引き出せるようになります。
もちろん、挽きたての香りは格別です。ミルのハンドルを回しながら、周囲に広がる香りを深呼吸して楽しむ。こうした「待ち時間」こそが、山コーヒーの醍醐味と言えるでしょう。
事前準備:豆の持ち運び方
最後に、豆の持ち運びについて。酸化を防ぐために、密閉できる袋やコンパクトなキャニスターを活用しましょう。標高が変わると気圧の変化で袋がパンパンに膨らむことがありますが、それもまた山歩きならではの面白い発見です。
