早めのクリスマスに、銅の輝きが届いた

― カッパードリッパーが教えてくれた「道具で味が変わる理由」―
少し早めのクリスマスプレゼントを、妻からもらいました。
ずっと欲しかった カッパードリッパー。
箱を開けた瞬間、銅特有の、あのやわらかくて凛とした輝きが目に飛び込んできて、
「これは、いい時間が始まるな」と直感しました。
焙煎士として、登山でコーヒーを淹れる人間として、そして YAMAdeCoffee の店主として、このドリッパーは“道具以上の意味”を持っていました。
ドリッパーで味が変わる?
答えは、はっきり「変わる」
「ドリッパーでそんなに味が変わるの?」
これは本当によく聞かれる質問です。
結論から言えば、
**ドリッパーは、コーヒーの味を“設計する道具”**です。
理由は主に3つあります。
① 素材が“温度”をコントロールする
カッパードリッパーは 銅製。
銅は熱伝導率が非常に高く、
お湯の温度がドリッパー全体に素早く均一に伝わります。
これが何を意味するかというと、
抽出中の温度ブレが少ない 最初から最後まで安定した味になる 雑味が出にくく、甘みが出やすい
ということ。
特に 自家焙煎豆のように繊細な香味を持つ豆ほど、
この温度安定の恩恵は大きい。
プラスチックや陶器では出にくい、
「輪郭のはっきりした味」を感じました。
② リブ(溝)が、抽出スピードを決める
ドリッパーの内側にある“溝”。
これも、見た目以上に重要です。
カッパードリッパーは、お湯の抜けがスムーズ でも速すぎない という、絶妙なバランス。
これにより、浅煎り → 酸がきれいに出る 中煎り → 甘みとコクのバランスが良い 深煎り → 苦味が重くなりすぎない
という印象を受けました。
豆の個性を邪魔しない
これは、焙煎士としてとても好感の持てるポイントです。
③ “道具を大切に扱う気持ち”が、味を変える
これは理屈ではなく、感覚の話ですが。
銅のドリッパーは、
手に取ると自然と所作が丁寧になります。
お湯を注ぐスピード 蒸らしの時間 粉の膨らみを見る目
不思議と、すべてが落ち着く。
山でコーヒーを淹れるときも同じで、
道具が人の動きを整えることは確かにあります。
結果として、
その一杯は、ちゃんと美味しくなる。
初ドリップの一杯は、YAMAdeCoffeeのあの豆で
最初に淹れたのは、
YAMAdeCoffeeの定番ブレンド。
いつも飲んでいるはずなのに、
香りの立ち上がりが早い 口当たりがなめらか 後味がすっと消える
「あ、余計なものが出てないな」
と感じました。
派手に変わるわけじゃない。
でも、確実に“整っている”。
これが、良い道具の仕事だと思います。
山とコーヒーと、クリスマスプレゼント
登山の世界では、
「軽い=正義」「簡単=正義」と言われがちです。
でも時々、少し手間がかかる道具が、時間を豊かにする
そんな瞬間があります。
このカッパードリッパーは、
きっと山には持って行かない。
でも、
山で飲むコーヒーを考える時間を、
確実に豊かにしてくれる。
そんな存在です。
道具が変わると、コーヒーとの向き合い方が変わる
焙煎も、抽出も、登山も、
結局は「向き合い方」だと思っています。
良い道具は、
人を上手くしてくれるのではなく、
人を丁寧にしてくれる。
それが、結果として
美味しい一杯につながる。
早めのクリスマスに届いたこの銅のドリッパーは、
そんなことを改めて教えてくれました。
次は、このドリッパーで
「山で飲む一杯」を、どう再現できるかを考えてみようと思います。
YAMAdeCoffee
店主・脇川 親義
